くん蒸の現場

くん蒸に使用する気体やくん蒸剤は、害虫駆除や防カビ・殺菌に有用で有益ですが、大半のくん蒸剤は人体に有害なため、取り扱い上の注意をイラストを交えてご紹介しています。

くん蒸で使用される主な化学物質

「くん蒸」は、主に害虫駆除や防カビ・殺菌のため、「くん蒸剤」を気化させて行われます。
「くん蒸剤」は用途に応じて様々な種類があり、複数の薬剤を混合させた「くん蒸剤」もあります。

くん蒸剤 主な用途 許容濃度(ppm)
リン化アルミニウム
(ホスフィン、リン化水素)
・農産物のくん蒸(穀物類、豆類、嗜好品類) 0.3(※1)
ジクロロプロペン
(1,3-ジクロロプロペン)
・土壌のくん蒸 1(※1)
クロロピクリン ・土壌のくん蒸 0.1(※2)
MITC(イソシアン酸メチル) ・土壌のくん蒸 0.02(※1)
シアン化水素 ・農産物のくん蒸(青果物、種苗類) 4.7(※1)
ホルムアルデヒド ・医療関係のくん蒸 0.1(※2)
ヨウ化メチル ・くり生果実のくん蒸 2(※1)
エチレンオキシド
(酸化エチレン)
・医療関係のくん蒸
・文化財/美術品のくん蒸
1(※1)
プロピレンオキシド
(酸化プロピレン)
・文化財/美術品のくん蒸 2(※1)
臭化メチル ・木材/梱包材のくん蒸
・農産物のくん蒸(穀物類、豆類)
・農産物のくん蒸(青果物、種苗類)
1(※1)

※1 ACGIH(米国産業衛生専門家会議)のTWAまたはSTELの勧告値
※2 日本産業衛生学会の勧告値​

農産物のくん蒸(穀物類、豆類、嗜好品類)

穀物やコーヒー、豆などの農産物は、サイロや倉庫で臭化メチル(CH₃Br)や、リン化アルミニウム(空気中の水分と反応してリン化水素:PH₃が発生)等を使用してくん蒸されます。

 
POINT

くん蒸期間は1日~1か月程度要することもあるため、その間、くん蒸効果を確認するために濃度を確認したり、外部への漏洩が無いか確認する必要があります。また、くん蒸終了後は残存濃度を測定し、安全確認をします。

危険性

くん蒸のため密閉された空間では、貯蔵物質の発芽や酸化、腐敗などで酸素を消費して、酸欠状態になる可能性があるため、酸素濃度に注意が必要です。

農産物のくん蒸(青果物、種苗類)

土壌のくん蒸

木材/梱包材のくん蒸

文化財/美術品のくん蒸

医療関係のくん蒸

ガス検知器はこんな用途で使用されています

これらの用途には、ポータブル式のガス検知器が有効です。