お客様の声

理研計器では、お客様から寄せられた声を貴重な情報として共有し、製品・サービスの開発・改善に反映しております。それは私たちにとってかけがえのない大切な財産です。

ポータブル製品をご使用のお客様から 〜GX-3R/GX-3RPro〜

日本で、世界で、その期待に応え続ける。

地下工事で、マンホール点検で、製鉄所やタンカーなど、危険なガスを伴うあらゆる作業現場で活躍するポータブル式ガス検知器。 理研計器製品は、その検知性能の高さと丈夫さ、現場作業を邪魔しないコンパクト&軽量設計で、世界中のお客様に愛用されています。 私たちは、メンテナンス等で都度、お客様とコミュニケーションを深め、長所短所をはじめ、他社との使用比較など、今後の開発や改善に役立つご意見を伺っています。 今回は、海外、国内のお客様からエールを頂きましたのでご紹介します。

CASE : 01 「ロングヒット」それこそが、実力の証明。

アメリカ / 安全管理者のお客様から

米OSHA規則ではBreathing zoneへの着用が求められている。
他社の検知器と比べ、小さく軽量であることからGX-3R, GX-3RProは最適。ロングヒットGX-2001, 2009と理研製品を愛用。ブランドに愛着がある。

CASE : 02 作業性と検知能力の両輪が安心な現場をつくる!

アメリカ/マンホール清掃会社のお客様から

コンクリートのドラム清掃という狭小スペースの作業では、小さくかつ低濃度のCO2が測定できる検知器は魅力的。CO2付きで小型が決め手と なり採用。作業の負担にならないだけでなく、CO2のTLV 5000ppm=0.5vol%という低濃度検知に対応しているガス検知器を使用することで、安心して作業を行うことが出来る。

CASE : 03 軽さ、装着の自由度の高さも魅力!

日本/マンホール内で作業するお客様から

ガス検知をするのに、両手がふさがって困る。このGX-3R、GX-3RProであれば身に着けて負担感がない。※1 ベルトクリップだけでなくヘルメットや足首に装着できるので、現場に合わせて使い方を変えられて良い。※2
※1 GX-3Rは約150g ※2 オプションを使用

CASE : 04 現場の管理者としても採用は正解だった!

日本/製鉄所のお客様から

作業班にGX-3Rproを持たせて安全を確保している。作業エリアが広大なため、管理者である私から状況を把握できなかったが、今は管理者へ直 接通知が来て状態がわかるので現場管理に安心が生まれている。作業班からも、軽量でシンプルな操作感で、モニタリングされているから安心感 があると評判がいい!

CASE : 05 外国航路の船でも、職場の安心をつくる!

日本/外航船内作業のお客様から

船舶で使用しているが、SOLAS条約とMEDにもマッチしており、各国のコーストガードでも認められているので安心。又、バンプテスト機等の ツールラインナップも充実していて性能確認も本船上で簡単にできるので助かる。

ポータブルガスモニター

型式:GX-3R

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ポータブルガスモニター

型式:GX-3R Pro

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定置式製品をご使用のお客様から 〜FI-800/FI-900〜

使う価値がある! 私たちの技術とノウハウはそのためにある。

様々な産業分野の工場で活用されている理研計器の「定置式ガス検知器」。 担当者様の課題解決を第一に、当社オンリーワンの「光波干渉式」をはじめ、業種や機構の特性、設置場所やコストに合わせた製品を取りそろえています。 さらに、定期点検等でお客様の工場にお伺いするフィールドエンジニア達がお客様の声を伺い、社内にフィードバックして製品開発や改良に役立たせていただいています。 その中から、今回は皆様のガス検知器選びにも役立つ「生の声」をお届けします。

FI-800ご使用 印刷会社のお客様から

最初から理研計器に相談しておけば...。

ガス検知器を「測定器」として使ってコスト削減したつもりが、使用環境に耐えきれずに何 度もセンサを交換し、結果的に予算は大幅オーバー。今はFI-800に変えて、スムーズな現場 作業と性能への安心感、余計なランニングコストもかからず、大満足です。初めから光波干 渉式にしておけばよかったと思いますね。

耐圧防爆構造 光波干渉式ガスモニター

型式:FI-800

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FI-900ご使用 食品会社のお客様から

実は、分析計としても大活躍!

ガス検知警報器として使用していたのですが、実はガスの純度測定も得意みたいで、繰り 返し精度が高いので、インラインのモニターとして十分使えます。実は、当社では分析計と しても活躍中なんです。しかも、交換部品がないのでメンテナンスコストも下がって、採用 担当者として大満足、社内でも鼻タカですよ。

耐圧防爆構造 光波干渉式ガスモニター

型式:FI-900

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分析計をご使用のお客様から

新素材開発から文化遺産保護まで理研計器の技術は常に研究者のチャレンジと共に

様々な分野の研究開発から文化遺産保護まで、理研計器の分析計は研究者様に幅広く活用されています。 時には研究者様の発想に勇気を与え、時には新しい発見の一助となり、さらには、当社が考えも及ばなかった使い方で結果を出す...。 私たちは納品後も様々な形で接点を持ち続け、ご相談や難度の高いオーダーに対応し続ける中で、多くのご意見、ご感想をいただいています。 この貴重な「声」を糧に、さらなる製品開発に向け努力を続けています。今回は、実際にご活用頂いている研究者様に取材し、ご意見を伺いました。

Special Interview.1 : 文化財保存分野で活躍中! DF-01の魅力を、東京藝術大学 桐野教授に聞く

元東京藝術大学
大学院 美術研究科 文化財保存学専攻
保存科学研究領域 美術工芸材料学研究室

教授 桐野 文良氏 キリノ フミヨシ

-- Profile

1956年、東京生まれ。1981年東京工業大学大学院総合理工学研究科修士課程修了後、博士学位取得(東北大学大学院工学研究科)。約18年間(株)日立製作所中央研究所勤務。電池材料・光や磁気記録などの研究に従事。2000年12月東京藝術大学大学院助教授、2010年同大学院の教授に就任。専門は、材料科学、保存科学他。所属学会は、日本文化財科学会を初め約10学会。受賞歴も日本金属学会、日本技術士会等複数。
2016年~(独)国際協力機構「大エジプト博物館」建設PJTの一環で、2021年オープンに向け、ツタンカーメン王の遺物を保存、修復、展示の技術支援をしている。文化財保存修復作業はチームワークが必須で、その気さくな人柄がワンチームを作り出している。
2023年3月、東京藝術大学 退職

ポータブル複合X線分析装置

DF-01

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世界が認めた日本の文化財保存修復

 桐野先生は、十年ほど前からエジプトの遺物保存修復に関わってこられました。本格的な活動は、2021年オープンを目指す「大エジプト博物館」(GEM)に、JICA(独立行政法人国際協力機構)がODAとしてエジプト政府に円借款を供与し、古代エジプトの重要遺物の調査分析・保存修復、関連する人材育成支援など、多岐にわたるプロジェクトでの多面的な協力を決定してからである。JICAの要請に応えて2016年11月からの三年間で、木製品や染織品、壁画など七二点の遺物修復に取り組まれました。
 着任当初は、世界最古の遺物保存修復に自信を持ち、エジプト人以外には遺物を触らせないという現地の専門家スタッフとの間で軋轢があったといいます。しかし、日本独自の現状分析方法や修復技術と人間性を理解していただくことで、溝は埋まり、互いを尊敬し合う信頼関係が生まれたそうです。
 「文化財保存修復にとって、現状の把握は最も重要な仕事です。それを基に、保存修復に必要な情報を得て、遺物が作られた当時に近い姿を取り戻し、劣化しにくくする方法を考えるんです」。海外では、文化財の一部を切り出して分析をするが、日本では、X線や紫外線などを当て、遺物を傷つけない非破壊的な方法で、年代や場所、塗料の成分や金属の成分などの分析、特定をするそうです。
 「まず、その方法に驚いていましたね。さらに、日本独自の修復技術に、薄くて強い和紙を使う手法があるのですが、壁画の表面剥離を防ぐために、薄く和紙を貼って修復を行いました。今回のプロジェクトではエジプト政府から日本の保存修復技術が認められたことは大きいと思います」。桐野先生たちの精魂込めたご尽力は、GEMの展示プレートに日本語が入ることが決まったという栄誉が物語っています。

DF-01との出会い、そして魅力とは

 「テレビでツタンカーメン王の黄金のマスクの科学的な測定を行った番組を見て、あの測定装置、うちの大学にも欲しいなと思っていたら、知人を通じて理研計器さんがデモ測定をしたいという。当日、お持ちになったのがテレビで見た測定装置だったので感激しました。本当に欲しかったのですが、その時は予算の都合で購入できず、でも諦めきれずに、数年後に購入しました」と、出会いを振り返る。
 DF-01の魅力は?という質問には「まず機動力。日本の文化財のほとんどが、脆さを含めて持ち出しが難しいのですが、保存修復を待ち侘びているのです。人類の宝を後世に残すためには、こちらから出向くしかないでしょう。私は、依頼があればDF-01を持って日本中どこにでも行きます。
 もちろん、蛍光X線とX線回析の両方が使えることも画期的。蛍光X線で元素を特定し、X線回析で物質を同定できる点がメリット。経験や想定に頼らない分析ができるので、その後の保存修復作業に大きな影響を与えます。さらに、絹のように薄いもの、小さな飾り金具、絵巻物、仏像など、大きさや形状に関わらず非接触で測定できる汎用性の高さも魅力。お蔭で、宮内庁所有の絵巻物や福岡市博物館所有の黒田長政の兜など、様々な文化財の測定ができました」と、ユーザーならではのご意見。
 また、「私は測定器いじりが好きなので、DF-01に色々な組み込みをしています。理研計器さんの開発者の方が驚かれることもしばしばですが、ユーザーの発想で色々な使い方ができるのも魅力。でも、そのために理研計器さんにアレコレ質問して、検討してもらってと、ご迷惑をかけているんです。開発・設計の方々は、いつも真剣に考えてくれますし、お互い凝り性な部分があるので、分かり合える仲間意識みたいなものがあります。そんな理研計器さん自体も魅力の一つでしょうか」と、嬉しいお言葉をいただきました。

科学が文化財保存修復のスタートを担う

「文化財保存修復のスタートラインである現状把握・分析は、科学の力でより正確なものになります。この道筋を確立するのが私の役目の一つ。そして、日本人学生・外国人留学生を世界に通用する人材に育て上げるのも大切な役目です。
 DF-01には文化財保存修復の学会や外国人留学生も興味を持っているので、理研計器さんには更なる進化を期待しています。また、うちの大学は、科学的な測定・分析から、保存修復作業をする専門家まで全て揃っていますから、今後は文化財保存修復の窓口的な役割を担ってゆく夢も持っています。その時にも良いパートナーでいてほしいですね。
 私は科学の目で、先人たちが創ってきたナノテクノロジー的な技を発見する度に驚きと喜びを感じます。まだまだ正確に分析、解明できずに悩む日々もありますが、私の感動をより多くの人に、そして後世に伝えてゆく努力は惜しみません」。桐野先生は少年のような眼差しで、過去と未来を見つめているようです。


DF-01による絵巻物の測定


黒田長政の兜

Special Interview.2 : 脱炭素社会実現の切り札"ペロブスカイト太陽電池"の実用化に挑む!

東京大学 先端科学技術研究センター
エネルギー環境分野 瀬川 浩司 研究室

特任教授 内田 聡氏 ウチダ サトシ

-- Profile

1965年、宮城県仙台市生まれ。青森県弘前市出身。
1991年東北大学大学院工学研究科修士課程応用化 学専攻修了後、同大学にて研究者としての道を歩み始める。
1996年博士号(工学)取得(東北大学/論文題目「高温水溶液を用いた金属スクラップからのNi,Cu,Zn,Snのリ-チングに関する研究」)、2006年東京大学先端科学技術研究センター・特任助教授に採用され現在に至る。

【研究・職歴】
1991年4月 東北大学選鉱製錬研究所附属難処理希少資源研究センター
・助手に採用
・高温水溶液による鉱石からの金属リーチングの研究
1994年4月 東北大学素材工学研究所・助手に配置換
・工業無機材料の水熱合成の研究
1996年4月 東北大学反応化学研究所・助手に配置換
・水熱反応によるセラミックス粉体の合成、光触媒の研究
2001年4月 東北大学多元物質科学研究所・助手に配置換
・ナノ酸化チタン粉末の水熱合成と色素増感太陽電池の研究
2006年11月 東京大学先端科学技術研究センター
・特任助教授に採用
・色素増感太陽電池、スポンジ酸化チタンの研究
2007年4月 東京大学先端科学技術研究センター
・特任准教授に任命
・色素増感太陽電池
2012年5月 東京大学教養学部附属教養教育高度化機構 環境エネルギー科学特別部門
・特任教授に採用
・色素増感太陽電池、ペロブスカイト太陽電池
2017年5月 東京大学先端科学技術研究センター
・特任教授に採用、現在に至る
・ペロブスカイト太陽電池

所属学会
日本化学会、日本鉄鋼協会、日本金属学会、日本セラミックス協会、
電気化学会、日本コンピュータ化学会、ヨウ素利用研究会、MRS(USA)

資  格
高圧ガス乙種機械(1992年8月14日)、特定高圧ガス取扱主任者資格(1992年3月25日)

大気中光電子分光収量装置

AC-3

大気中光電子分光収量装置AC-3
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2015年に国連サミットで採択され、2030年までに世界中で取り組む「SDGs(Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標)」は、 今や世界的な潮流。日本政府も2020年に「2050年までに脱炭素社会実現を目指す」と宣言しました。
今回は、日本はもとより世界からも期待されている次世代太陽電池の研究で「大気中光電子分光収量装置AC-3」をご活用いただいている、 東京大学 先端科学技術研究センター エネルギー環境分野 瀬川 浩司 研究室
特任教授 内田 聡先生にお話を伺いました。

脱炭素社会実現の切り札として次世代太陽電池が期待されているのはなぜでしょう。

 これまで自然エネルギーの利用については、ネガティブな言い回しで存在を歪められてきました。例えば「太陽光発電は季節や天候に左右されて不安定な...」と。
これは全くの間違いです。なぜなら明日、太陽がお休みということは無く、政治にも経済にも影響されない、最も安定なエネルギー資源なんです。
 本当に問題なのは、発電側にあるのではなく、作った電気を貯めておくことが難しいことにあり、いつも話をすり替えられて説明されがちです。もっとも、現在休止中で使われていない原子力発電所の揚水発電をこうした自然エネルギー利用に開放してもらえば、日本の再生可能エネルギー利用比率は今の数倍、容易に上げることができるはずです。
社会に自然エネルギーを定着させるためには、科学者の研究も必要ですが、自然エネルギーをどう有効活用するかに関しては、行政や専門家、電力会社、企業など、社会全体で真剣に考えることが重要だと思います。
次世代太陽電池は発電効率が高いだけでなく、軽くて設置場所を選ばない、より使い勝手の良いものを目指すという点に特徴があり、脱炭素社会の実現を大きく後押しすることが期待されています。

内田先生が研究中の次世代型太陽電池の特徴はなんでしょうか。

 今現在取組中の「ペロブスカイト太陽電池」は2009年に考案され、直近では効率η=25%を超える性能が報告されています。今は単結晶シリコン太陽電池と真っ向勝負している最中です。ほんの数年前まで、有機系の太陽電池がここまで性能を上げるという事は誰も想像しえなかった快挙と言えます。
このペロブスカイト太陽電池は、高純度のシリコン半導体を必要とせず、ありふれた化学薬品の調合で作れ、またその方法も印刷によって高速・大面積に作れるというのが大きな利点になります。
 当然のことながら世界中で激しい技術競争が繰り広げられており、特に中国では数万人の研究員を投入して進められています。性能の向上も、毎月どころか毎週のように新しい報告が挙がっています。日本における太陽電池事業は、もともと世界トップを走りながら技術流出を許し、ビジネスとしての撤退を余儀なくされているという挫折の歴史を繰り返してきました。この轍を踏むこと無く、ビジネスとしても世界を席巻できる実用化を目指しています。

先端科学技術が社会にもたらすものはなんでしょうか。

 「健康(不老長寿)」と「エネルギー」は人間社会にとって欠かせない、永遠の課題です。
SDGsの目標でもある持続可能な社会を創るためにも、環境に負荷をかけず、人体に有害でないエネルギーの創出は必須となります。
太陽光発電によるエネルギー供給は、地下資源の枯渇化を防ぎ、有害な気体を発生させず、原子力のように処理できない廃棄物をもたらす懸念が無く、廃熱で海水を温めるようなこともない。安心して使えるという意味で我々の生活に大きく貢献できるものと期待しています。

実用化に向けてのスケジュールをお伺いできる範囲でお願いします。

 昨年末に菅総理大臣が所信表明演説を行い、グリーン社会の実現に向けて「鍵となるのは、次世代型太陽電池(ペロブスカイト太陽電池)」と明言されました。これを受ける形で政府は脱炭素2兆円基金を組み、今年からNEDOを通じて本太陽電池の実用化プロジェクトを始める見通しです。遅くとも10年以内には実用化を果たす予定です。

AC-3との出会いと採用の決め手についてお話しください。

 大気中光電子収量分光装置の存在は比較的早い段階で興味を持っておりました。「大気中で仕事関数・イオン化ポテンシャル(IP)を測れる」というのは最大のメリットだと思います。2001 年には AC-2 で我々のサンプル評価をして頂きましたし、2007 年には無理をお願いして理研計器を訪問し、AC-3 を試させて頂きました。
 IP 測定は古くから UPS を用いるのが一般常識でしたが、通常1億円以上という装置コストもさることながら、真空測定が基本となるため有機物に対しては不向きでした。またこうした(真空という)特殊条件で測った値が、そもそも材料の性質を表しているのか?という懸念もありました。繰り返しになりますが AC-3 では大気圧下でこうした測定ができ、サンプル形状も問わず、液体も測れる!という点で圧倒的なアドバンテージがあると思います。

実際に活用して感じるAC-3の魅力と理研計器に期待することとは。

 仕事関数・イオン化ポテンシャル(IP)測定装置は他に例をみない独自技術ですね。世界の名だたる主要大学・研究機関で導入されていることも頷けます。
装置の利点もさることながら、得られたデータの解析や測定手法については理研計器の関係者から多くの有用なアドバイスを頂きました。また、そこで得られた成果のいくつかは応用物理学会や日本化学会、アメリカ材料科学会 (MRS) などで連名発表させて頂き、好評を得ました。「(装置を)売って、おしまい」ではなく、きちんとフォロー頂けたという意味で本当に感謝しています。 ユーザーとして、こうした絶大な信頼関係を今後も大事にして欲しいと思います。
研究者の欲は尽きることがなく、「バンドギャップも同時に測りたい、加熱(冷却)しながら測りたい、光を照射しながら測りたい、できれば単色光で」...きりがありませんが(苦笑)、理研計器には期待しています。

若い研究者、未来の研究者の方々へのエールをお願いします。

 私は子供の頃から同業の父の影響で、「はかせ」と呼ばれることに漠然と憧れていました。
大人になり、大学教員になった頃は、逆にできるだけ父の影響から逃れたいと思い、違う学部・専門を目指したはずが、紆余曲折を経て結局同じ「光化学」分野に行き着いたのは、何とも皮肉です。(これも苦笑)
私が「研究する人生」を選んだ最大の理由は仕事における「自由度」の大きさだと思います。
自分で考えたアイディアを実証すること、その結果として誰かの役に立つという根本部分も含めて人生をかける価値があると思っています。また、大学という中立的な立場で、会社を問わず、国を問わず多くの人と巡り会えるというのも大きな魅力。それは、いくつになっても自分に刺激やインスピレーションを与えてくれます。
 これまでも今も私は人に恵まれ、運に恵まれ、申し分の無い研究者人生を歩んでいると思っています。皆さんに伝えたいことは沢山あるのですが、一つ挙げるとすれば「(自分に対する)他人の評価は気にするな」ですかね。 人は誰しも弱い、それでも強い意志を持ち、良くも悪くも、この世界で研究者を長く続けるためには鈍感力が必要です。それが、自分の思いを貫く支えになります。 もっと気の利いたアドバイスができれば良いのですが、本当に済みません。

おわりに

 次世代太陽電池実用化へのロードマップはまだ中間地点だとおっしゃっていますが、内田先生の長年の研究を支えてきた「太陽は未来永劫輝いているのだから、人類にとって最も安全で安定したエネルギーだ」という思いの強さと発想の豊かさ、情熱と冷静を糧に、ロードの途中で思いもよらない宝物を生みながら、加速度を増していくことでしょう。
理研計器は、先生の研究のお手伝いをしていることを誇りに思っています。


ペロブスカイト太陽電池