ACシリーズ
活用事例

様々な研究分野で活用されるAC シリーズの測定実例をご紹介します。
未来を創る皆様の研究にも、ぜひ、お役立てください。

リチウムイオン電池正極材料の表面処理による耐久性の向上

信州大学の手嶋・是津グループはAC-2を用いて、表面処理を施したリチウムイオン二次電池(LIB)の正極材料のイオン化ポテンシャルを測定しました。
そしてその結果を、Nature Scientific Reports誌に論文報告しました[1]。

スピネル型リチウム金属酸化物はLIBの正極材料として、高電圧によるMnイオンの溶出などの問題があります。
このため、充放電を繰り返すと電池容量が低下することがあります。
この課題に対して、手嶋・是津グループは正極材料を表面コーティング処理することで、LIBの充放電耐久性の向上に成功しました。
未処理の正極材料は100回充放電を繰り返すと、78%の放電容量保持率しかありませんでした。
しかし、コーティングした正極材料では97%の放電容量保持率が得られました。
さらに、ACシリーズを用いてコーティングの有無について正極材料のイオン化ポテンシャルを比較しました。
その結果、コーティングした材料はより高いイオン化ポテンシャル及び少ない光電子収量を示し、このためMnの溶出が阻害されたことが分かりました。

こうして、ACシリーズはリチウムイオン電池の材料開発に新たな視点から貢献しています。

Fig.1 コーティング処理を施した正極材料と未処理の正極材料のイオン化ポテンシャルの比較[1]

[1] D. Kim, S. Uchida, H. Shiiba, N. Zettsu, K. Teshima, New Insight for Surface Chemistries in Ultra-thin Self-assembled Monolayers Modified High-voltage Spinel Cathodes, Scientific Reports, 8(1), 11771, 2018; https://doi.org/10.1038/s41598-018-30135-z

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